UXリーダーが直面する問題: Ask UXmatters – 専門家による回答
[2016-11-21](翻訳: ソシオメディア株式会社)
Ask UXmatters では、UXリーダーが組織内で直面する問題を取り上げ、私たち専門家パネル(訳注:テーマに対しての明確な意見をもつ人によって構成され、最新の知見と全体像を提示する姿勢で、コミュニケーションしたりディベートしながら進めていく会合体のこと。参考:コンセンサス会議)で議論し、克服するためのいくつかの方法を提示したいと思います。「組織内の問題」とは、次のようなものを含みます:
- ユーザーエクスペリエンスが提供するユニークで戦略的な価値、つまりビジネス的価値を理解できていない
- ユーザーエクスペリエンスに十分に投資していない
- ユーザーエクスペリエンスとそのボキャブラリー(用語・語彙)の知識に欠けている
- ユーザーエクスペリエンスが成功するビジネスコンテキストを作り出すことができていない。その理由はさまざまで、例えば最適でない組織構造、異なる役割を持つ人々がお互いを尊重できていない(あるいは誤解している)、変化への抵抗、UXの専門家が提供できるユニークな価値が見落とされている、など
- 開発プロセスの中でユーザーエクスペリエンスを検討するタイミングが遅すぎる
- UX専門家にプレッシャーを与え、デザインプロセスの重要なステップを省かせている
今回のコラムで回答するのは以下の専門家です:
- Mark Baldino: Fuzzy Math 共同創設者
- Warren Croce: Gazelle の主任UXデザイナー、Warren Croce Design 社長
- Leo Frishberg: PhaseⅡ社長
- Pabini Gabriel-Petit: Strategic UX戦略の主任コンサルタント、UXmatters 出版者及び編集長、Interaction Design Association (IxDA) 創設者兼ディレクター、UXmatters のコラムニスト
- Ben Ihnchak: Fuzzy Math 共同設立者
- Jordan Julien: エクスペリエンス戦略コンサルタント
- Gavin Lew – Gk: UX担当副社長
- Baruch Sachs: Pegasystems UXシニアディレクター、UXmatters コラムニスト
- Janet Six – Lone: Star Interaction Design 社長、UXmatters 編集主幹及びコラムニスト
組織は、ユーザーエクスペリエンスの真のビジネス価値を理解していない…
ユーザーエクスペリエンスを単なる戦術的機能として認識していて、UXチームを組織の底辺に押し込んでしまい、彼らが効果的に働けなくなっているのです(Pabini Gabriel-Petit)
「多くの組織は、ユーザーエクスペリエンスのユニークかつ戦略的な価値を見落としています」と回答するのはGabriel-Petit氏。「そのような組織は、ユーザーエクスペリエンスの真のビジネス価値を理解していないのです。」
「彼らはユーザーエクスペリエンスを単なる戦術的機能として認識していて、UXチームを組織の底辺に押し込んでしまい、彼らが効果的に働けなくなっているのです。どうして効果的でなくなるのか? その理由は下記の通り:
- そのようなUXチームは、Cレベル(最高責任者レベル)の幹部たちまたは、シニアリーダーたちと仕事をしなければならないのにも関わらず、上層部へのアクセスがなく、彼らとの間でのマインドシェアの意識を持っていません。
- UXリーダーやUXチームのメンバーは、製品やサービスの戦略的価値を付加するための重要な話し合いの場にいません。
- ユーザーエクスペリエンスは通常、製品または開発部門の下に置かれるため、UXリーダーは、自分やチームが何をしているのかを全く理解していないような上層部に報告しなければなりません。また、ユーザーエクスペリエンスが報告される側の幹部たちは、UXチームを犠牲にしてでも自分達の機能のニーズを優先するかもしれません。このような問題が存在する場合、ユーザーエクスペリエンスへの投資が不十分になりがちです。そしてそのような状況の中ではUXリーダーが活躍し、前進するのは難しいでしょう。
- 他の部門の人たちも、ユーザーエクスペリエンスを上層部のサポートを得ていない弱い機能と見なし、UXチームのことを酷評したり、協力する意欲が低下したりする可能性があります。また、リサーチ・戦略判断・デザインを自分達で行うことができると考え、UXリサーチャーやデザイン・ストラテジスト、デザイナーなど必要ないと感じるかもしれません。
- 組織が、ブランドデザインとUXデザインを区別することができず、ブランドを優先するあまり製品のユーザーエクスペリエンスの質が損なわれる危険性があります。これは、UXデザインよりもブランディングに価値を置く、イメージ重視の組織によくあることです。これもまた、ユーザーエクスペリエンスへの投資が不十分という事態につながります。
ユーザーエクスペリエンスの価値が十分に理解されていない組織では、ユーザーエクスペリエンスに対する投資が不十分になることがしばしばあります。(Pabini Gabriel-Petit)
こういった理由から、ユーザーエクスペリエンスの価値が十分に理解されていない組織では、ユーザーエクスペリエンスに対する投資が不十分になることがしばしばあります。その結果、以下のようなことが起こります:
- リソース不足のUXチームは、良い仕事をすることができません。UXの専門家があまりにも少なく、また、あまりにも多くのプロジェクトに薄く広く配置されるためです。 UXリーダーが抱える仕事が多すぎて、UX戦略やリーダーシップに十分注意を注ぐための時間の確保が難しくなる可能性があります。
- UXチームの中で、いくつかの重要な役割(能力)が欠落する可能性があります。例えば、UXリサーチ、ビジュアル・インターフェースデザイン、フロントエンド開発などです。UXリサーチが十分なされていなければ、最適なエクスペリエンスの成果を生み出すために必要なデータを得ることができません。ビジュアルデザイナーがいなければ、ビジュアル的にあまり満足のいく製品が出来ないかもしれません。また、UXチームにフロントエンド開発者がいなければ、プロトタイピングは機敏さや柔軟性に欠けるでしょうし、UXデザイナーたちは開発者から多くの洞察を得られないかもしれません。これらの役割(能力)の欠如は、UXチームの有効性に悪影響を与える可能性があります。
- プロダクトチームは、プロジェクトの早い段階でUXを考慮せず、UXチームを重要な情報ループに入れない場合があります。その結果、UXチームは情報を追うために無謀な長時間労働を強いられ、効率が低下し、プロセスの省略を余儀なくされます。真のユーザー中心設計(UCD)を行うことが不可能になりかねないのです。
「このような問題の全ては、UXリーダーとチームが組織内で成功を収めるのを非常に困難にする可能性があります」と Gabriel-Petit は結論づけます。「UXのリーダーとして、組織内でこういった問題が多すぎると感じる場合は、他で仕事を見つけることを検討しても良いでしょう。その組織はあなたにふさわしくないかもしれません。」
「組織(特に大規模な組織)は大抵、変化に抵抗します。ユーザーエクスペリエンスがその組織において新しい取り組みである場合、または以前にUXチームが失敗した経験がある場合、ユーザーエクスペリエンスを徹底するには大改革が必要です。ユーザーエクスペリエンスを組織に浸透させるための改革において成功するには、組織全体、特に中心的なステークホルダーがユーザーエクスペリエンスに真の価値を見出し、変化を受け入れたいと心底願い、成功するためには何が必要かを理解し、変化に怯えないことが大切です。UXリーダーは、変化の障害となっているものを取り除くためにCレベル(最高責任者レベル)のサポートが必要です。
下記の記事でもこのトピック関連の私の考えをお読み頂けます:
- “The Future of UX Leadership: Radical Transformation” (共著 Jim Nieters)日本語訳:「UXリーダーシップの未来は急進的な変革にあり」
- “Sharing Ownership of UX“
ユーザーエクスペリエンスやデザインについての理解の欠如
デザインの語彙力がしっかりなければ、設計に関するディスカッションは表面的なものにとどまり、貧弱なデザイン文化が形成されることになります。(Leo Frishberg)
「今までのキャリアの中で私が遭遇した最大のハードルは、デザインについての理解不足とデザインに関する語彙力のなさです」と Frishberg 氏は答えます。「しばしば、産業用ツールやB2B契約に特化した、れっきとしたエンジニアリング系の企業で仕事をすることがあるのですが、このような組織ではデザインについてなどほとんど話し合われません。最も広い意味での「デザイン」であってでもです。ほとんどの人は、デザインという名の付くどのようなものも、学んだことがありません――特に、15年以上も前に創立された大企業の社員はそうです。デザインの語彙力がしっかりなければ、設計に関するディスカッションは表面的なものにとどまり、貧弱なデザイン文化が形成されることになります。チームで意義深い議論を交わす代わりに、並行したモノローグ(独白)の言い合いをしてしまうのです。つまり、私はデザイナーとして参加すると、話す相手から全く異なる会話が返ってくるのです。
組織において、デザインに関する語彙力が足りないということは、会話を相手が理解できる、かつ動機付けとなるようなレベル(利益の向上やユーザーアドプション(ユーザー採用)の拡大、市場混乱など)へシフトするのは私の責任範囲となるのです。UX分野の私たちには、私たちのスキルがそういった戦略的活動にどのように貢献できるか分かっていますが、ユーザーエクスペリエンスに精通していない人は、理解するのに手助けが必要です。
UXの速度が遅いということは、デザインやユーザーエクスペリエンスに関するボキャブラリーがないという、根本的な問題から出てくる重大な結果なのです。(Leo Frishberg)
ですから、大規模の確立された企業では、ユーザーエクスペリエンスの価値をしっかり理解してもらうまでには、予想以上に時間がかかるのです。UXの速度が遅いということは、デザインやユーザーエクスペリエンスに関するボキャブラリーがないという、根本的な問題から出てくる重大な結果なのです。
小規模の企業でデザインボキャブラリー欠如のために発生する問題は、大企業とは若干異なります:フォーカスの欠如と結果についての混乱というものが浮上します。例えば、私が携わった多くの企業では、UXデザインを「ビジュアルデザイン」の傘下に置いていました。これは、両者の違いを知っているUX専門家にとっては混乱の種です。「ビジュアル」という言葉が飛び交うと、私たちはUXの表層処理に関する問題が議論されているのだと思うかもしれません。でも実はステークホルダーが意味しているのはUXデザインだったりするのです。ですから、このような誤解を解消するのも私たちにかかっているのです。しかし、本質的には結果は変わりません:基本をお教えしていく中で、やはり進行速度は低下してしまうものなのです。」
ユーザーエクスペリエンスを不可欠で戦略的な機能と見なさない
私が最も頻繁に目の当たりにしてきた問題は、ユーザーエクスペリエンスが組織の中で適切なレベルに位置付けられていないことです。(Warren Croce)
「私が最も頻繁に目の当たりにしてきた問題は、ユーザーエクスペリエンスが組織の中で適切なレベルに位置付けられていないことです」と語るのは Croce 氏。「なぜこれが問題なのか?あなたが食物連鎖の下の方にいるなら、組織はあなたを推進・戦略的機能ではなく、「実行機能」とみなす可能性が高くなります。ユーザーエクスペリエンスは、製品管理(プロダクトマネジメント)またはエンジニアリング部門に属していることが多いです。どちらでもうまく機能するのを見てきましたが、ベストと言える状況は、ユーザーエクスペリエンスが両者と同格に位置することで、戦略やプロジェクトの優先順位付けについて発言権を有するポジションにあることです。つまり、ビジネスの中心により近く、そしてより影響力を行使できる状況です。」
UX部門設立への道のりは、組織全体がそれを望み、その価値を理解している場合でも十分に大変なものです。ですから、組織の準備が整っていなければ不可能に近いのです。(Jordan Julien)
「ユーザーエクスペリエンスを不可欠な取り組みと認識していても、大きな部門は必要ではない、と考える組織もあります。」と Julien 氏は言います。「このような考えのゆえに、ユーザーエクスペリエンスが一人あるいは二人芝居になってしまうことがあります。UXリーダーが所属組織の中で唯一のUX専門家であるならば、その人はどのプロジェクトにも不可欠な存在であり、おそらく忙し過ぎてリーダーシップの仕事に集中できないでしょう。UX部門設立への道のりは、組織全体がそれを望み、その価値を理解している場合でも十分に大変なものです。ですから、組織の準備が整っていなければ不可能に近いのです。」
製品チームの他の担当者とのずれ
「IT(情報技術)や開発組織の目的は、しばしば、プロジェクトを時間通りに、仕様どおりに、そして予算通りに行うことです」と Lew 氏は答える。「一方、製品管理が気にするのは売上、解約、返品、コンタクトセンターへの電話、顧客ロイヤルティ、リピート購入などです。ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーのニーズを理解し、それを満たすことに重点を置いています。このように、役割がそれぞれ異なっているのですから、全員が目標を調整し、自分たちだけの目標達成のためにサイロ型に業務を行うのではなく、ビジネスのニーズに対応できるようにする必要があります。」
「しかし、先見の明がある企業では、ユーザーエクスペリエンスは新しい世界に存在するのです。『ユーザーフレンドリー』や『ユーザビリティ』はリップサービス以上の、重みある言葉として捉えられます。そのような企業では、ユーザーエクスペリエンスがユーザー満足度やロイヤルティ、より良いブランド・エクスペリエンスを促進できることが理解されています。私たちは、ユーザーエクスペリエンスの影響を測定し、そのメトリクスを使用してデザインを推進する必要があるのです。」
一部の組織で私がよく直面する問題は、彼らが特定のプロセスとそれに関連するコスト(リソース、時間、お金)に疑問を抱くことです。ですから、UXデザイン設計の投資収益率(ROI)を明確にすることが課題です。(Mark Baldino)
「一部の組織で私がよく直面する問題は、彼らが特定のプロセスとそれに関連するコスト(リソース、時間、お金)に疑問を抱くことです」と Baldino 氏は述べます。「ですから、UXデザイン設計の投資収益率(ROI)を明確にすることが課題です。単純明快な手法はありませんが、まずは、組織内のKPIを特定するか、ユーザー満足度のメトリクスを作成することでしょう。そしてそのメトリクスをプロジェクト前、プロジェクト中、そしてプロジェクト後に追跡することで、ユーザーエクスペリエンスの影響をビジネスドライバーに合わせていくことができます。」
変化への抵抗
「しばしば、組織からこのような声が聞こえて来ます:『私たちは以前からこうしてきたのです。どうして変わらなければならないのですか?』」と Ihnchak 氏は答えます。「変化を起こすことは大抵難しいです。そして組織(とりわけ大きな組織)のやり方を変えるのは、とてつもなく難しいです。変化に対してオープンな環境を作る良い方法は、皆が綱を同じ方向に引っ張るようにすることです。そのためには目標指向のペルソナや現実的なサポートシナリオを作成すると良いでしょう。そして、ペルソナやシナリオの作成及び検証過程に多くの異なるタイプの人やグループに関わってもらうことで、多くの声を聞くことができ、賛同を得るのに役立ちます。画面の向こう側にいる人物と彼の目標や課題についてチーム全体が一致すれば、変化を起こす方向に進めやすくなるでしょう。」
UXリーダーが直面する最大の課題は、独創的な考え方の欠如です。(Jordan Julien)
「組織の構造として、UXリーダーがUXの取り組みを率いる時間と義務を負える状況にある場合、そのリーダーが直面する最大の課題は、独創的な考え方の欠如です。」と Julien 氏は付け加えます。「UXチームのリーダーたちには、プロダクトチームに独創的な発想を鼓舞する責任があります。上手くいくソリューションを考え出せば、同じ問題に対して毎回同じ方法で解決しようとしてしまいがちです。私が経験から学んだことは、すでに解決策を持っているかどうかにかかわらず、類似する問題であってもそれぞれ独自のコンテキストで考えることが大切だということです。」
誰もがデザイナーになれるという考え
(UXの専門家には)ビジネスの問題を包括的に捉えるユニークな能力と、問題を解決する、あるいは確かなデザインでソリューションに貢献する能力がある。(Baruch Sachs)
「誰もがデザイナーになれるという考えが蔓延しています」と述べるのは Sachs 氏。「エンタープライズやクラウドのアーキテクトが講演などをした場合、専門外の人でその講演内容を疑問視するのはごく少数の人のみです。しかし、UXアーキテクトに対してはそうではありません。私たちの仕事は、誰にでもわかりやすく、アクセスしやすいように見えるので、誰もが意見を持っていて、自分達のほうが専門家よりもっと上手くできるのにとさえ感じることがあるようです。これはデザイナーにとっては苛立たしいことで、組織内でのリーダーシップ問題につながるようなことです。この問題を克服するには、私たちのやり方が優れているということではなく、私たちにはビジネスの問題を包括的に捉えるユニークな能力と、問題を解決する、あるいは確かなデザインでソリューションに貢献する能力があることを示さなければなりません。組織におけるユーザーエクスペリエンスの目標は、組織の文化に深く浸透し、その文化が形成され続け、拡大していくようにすることです――私たちが周りから「デザインの権威」と認められることではありません。自分たちのことを「デザインの権威」と区別してしまうなら、私たちは蚊帳の外に身を置いてしまうことになるのです。」
プロセスの不可欠なステップを省かせる
製品の優れたUXデザインを開発するプロセスの中で不可欠な手順を省く組織もまだ見受けられます。(Janet Six)
ユーザーエクスペリエンスの重要性を認識する組織が増えてきていることは大いに喜ばしいことですが、製品の優れたUXデザインを開発するプロセスの中で不可欠な手順を省く組織もまだ見受けられます。UXデザインは、開発プロセスの後半に行えるものだと考える企業が多いのです。UXデザインは、かっこいいユーザーインターフェイスを追加するだけのものと捉え、それでもって製品のマーケティングや採用材料においてユーザーエクスペリエンスを重んじていると主張するのです。
しかし、ユーザーエクスペリエンスは製品開発サイクルの早い段階で検討される必要があり、製品のユーザーエクスペリエンスはその製品の強固な基盤となっていなければなりません。「我々の製品は Apple 社の製品のように『見え』なければならない」と言う企業は多いですが、Apple 社製品のように機能することは目指さず、到底そのレベルまで到達できません。ユーザーエクスペリエンスが最前線にあるこの時代であっても、多くの企業はその基本でさえおさえられていないのです。「見栄えが良い」では十分ではありません。製品は上手く動作しなければならないのです。今は誰もがそれを期待しているのです。
UXリーダーはイノベーションと創造性を奨励しつつ、最終的なデザイン・ソリューションがビジネスの制約の中で成功できることを保証しなければならないのです。(Janet Six)
組織が、優れたユーザーエクスペリエンスを創るための労力を矮小化してきた結果、多くの製品がシュナイダーマンの「UIデザインにおける8つの黄金律」を達成できていません。
そして多くのUXリーダーは、幹部から十分なサポートを受けていないにもかかわらず、理想を追い求めてより多くを期待するチームメンバーを率いていかなければなりません。
とは言え、UX専門家として今はとても楽しい時代です! 多くの人が、私たちの仕事が本当に重要であることをやっと認めてくれるようになってきたからです。今こそ私たちの素晴らしいアイデアを実現し、世界をより良い場所にするための機会がたくさん与えられています。このことについては、私の最近の記事:
Ask UXmatters の “Making the World a Better Place Through User Experience” を参照してください。
一方、UXの専門家はしばしばビジネス上の配慮に欠け、絵に描いた餅のようなアイデアを提案してしまうことがあります。世界最高のエクスペリエンス・デザインを作ることに興奮してしまい、そのアイデアが利益をあげないなら現実的ではないということを忘れてしまうかもしれません。UXデザイナーは、ビジネスの観点からあるデザインが実用的かつ実現可能であることを検証することが不可欠です。UXリーダーはイノベーションと創造性を奨励しつつ、最終的なデザイン・ソリューションがビジネスの制約の中で成功できることを保証しなければならないのです。
Dr. Janet・M・Six
Lone Star Interaction Design 社長
米国テキサス、ダラス/フォートワース
テキサス州ダラスの Lone Star Interaction Design 社長。企業が財務的、時間的、技術的な制約を抱える中で、より使いやすい製品をデザインするためのアドバイスを行っている。情報の視覚化に関する彼女の研究は、テキサス大学 Dallas Jonsson 工科大学コンピュータサイエンス学術誌年間論文賞を受賞した。また、名誉ある IEEE Dallas Section 2003 若手優秀技術者賞も受賞。彼女の研究は、Graph Algorithms and Applications 学術誌及び Kluwer International Series in Engineering and Computer Science に掲載された。グラフ描画、情報可視化、アルゴリズム工学・実験に関する学会議事録にも彼女の研究の成果が記載されている。UXmatters 編集主幹を務める。