NPSとUXについて知っておくべき10の大切なこと
2015年9月14日
原文: 10 Things To Know About Net Promoter Scores And The User Experience [2012/4/24](翻訳: ソシオメディア株式会社)
NPS を全社的メトリクスとして採用する企業がますます増えています。
多くの企業では、UXメトリクスを含むすべてのメトリクスが NPS にまとめられるのです。
そこで、UX向上を図るために NPS について知っておくべき10の項目をまとめました:
- NPS は顧客ロイヤルティを測るものであり、ひとつの質問に基づいています:「あなたがこの製品を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいですか?」という質問に対し、答えの選択肢が0(薦める可能性は非常に低い)から10(薦める可能性が非常に高い)までの段階があります。回答は次の3つに分類されます。
推奨者:9〜10ポイント
中立者:7〜8ポイント
批判者:0〜6ポイント
推奨者の割合から批判者の割合を引いてパーセントとして表すと NPS になります。例えば、推奨者が100人、中立者が30人、批判者が80人の場合、NPS は9.5%(20を210で割る)となります。これは批判者よりも推奨者が9.5%多いということを示しています。NPS が-10%なら、批判者の方が推奨者よりも10%多いということになります。※Net Promoter、Net Promoter Score および NPS は Satmetrix Systems, Inc.,、Bain &Companyと Fred Reichheld の登録商標であることを明記しておきます。
- NPS の魅力はそのシンプルさにあります(スコアが付けやすく、質問がひとつのみ)。また、NPS はパーセンテージで表されるので、会社の重役や数学が苦手な人に説明するときに平均率よりもずっと分かりやすく感じてもらえるのです(例えば、NPS 70%とするのに対して、平均率だと10のうちの7.9)。パーセンテージがマイナスだと混乱しやすいこともあり、企業によっては NPS 値を「スコア」とよび、パーセンテージとは言わない場合があります。純利益と同じようなものだと考えればいいでしょう(純利益がマイナスになりえることは誰もが知っているので)。我々の著書 『Quantifying the User Experience』の5章で説明しているように、ふたつの独立した割合を差し引くこととなんら変わりはありません。
- NPS の主な利点は、顧客発のメトリクスについて企業に考えさせるところです。確かに、最終的なメトリクスは収益なのですが、収益は遅行指標であり、必ずしも将来の成長を示すものとは言えません。特に企業が短期的収益を上げるために顧客を怒らせてしまっている場合はそうでしょう(電話会社、ケーブル会社あるいはレンタカー会社からの最近の請求額を考えてみてください)。また、前四半期の数字などどうすることもできません。もし将来の成長と収益を測るための妥当な代用基準があれば、次年度の収益を改善することができるかもしれません。そして顧客にはその過程でさらにハッピーに、さらにロイヤルティを高めてもらえることでしょう!
- NPS の主な欠点は11段階の回答を3つ(批判者、中立者、推奨者)のカテゴリに丸めてしまうところです。このことから生じる結果はふたつあります。1つ目は、平均値と同じ正確さを求めるならば、サンプルサイズを大きくしなければならないということです。そのため、誤差の範囲が従来の方法(平均値と標準偏差)の2倍になります。2つ目は、経時的な変化や競合との比較など、スコアの違いを見つけるのが難しいという点です。ですから私は分類前の回答と、tテストや回帰分析の平均値と標準偏差を用いています。
- NPS の「究極の」質問は人気がありますが、会社や産業によっては他の質問がより適切かもしれません。顧客満足度と顧客ロイヤルティを測る多くの尺度は相関があります。Reichheld は、2006年に出版した『The Ultimate Question(究極の質問)』の28ページで、薦める可能性を尋ねる質問は、14ある産業のうち11(79%)の産業について、リピート買いや製品の照会を予測するためのベストかその次に良い、と指摘しています。製品や産業によっては、再来店、再購入、あるいは再利用の可能性を尋ねる質問のほうが顧客ロイヤルティをより良く示す尺度となる場合があるということです。私の経験上、特に B2B 商品ではそうだと思います。「この非営利の会計ソフトウェアを友人に薦める可能性はどれくらいあるでしょうか?」一見不適切に思えるこの質問でも、他の質問との相関性は高く、経時的変化の分析も可能でした。ですから、無駄なものばかりだと思って大事な情報を見落としてしまうことのないようにする必要があります。
- NPS だけに頼らないこと:NPS は継続的に確認すべき良い指標ですが、顧客ロイヤルティの高低を表すだけで、その原因を示してくれるものではありません。人は何かの理由で製品やウェブサイト、サービスを薦めたり薦めなかったりするのです。短いアンケート調査でもそういった根本的な原因を探り、改善に向けられるように、ふさわしい質問をいくつか候補として盛り込んでおく必要があります。大抵の場合、価値、品質、ユーザビリティ、そしていくつかの主な機能について質問すると良いでしょう。その後で、NPS に最も大きなインパクトを与えている特徴や態度を統計的に特定するためにキードライバー分析を行うことができるのです。私があるクライアントのために行ったキードライバー分析では、顧客宛電子メールの送信頻度が多すぎることが、批判者の最大のドライバーであることが判明しました!
- ベンチマークと比較する:NPS はパーセンテージで表されているため、平均スコアより直観的なものに思えるかもしれませんが、NPS において高いスコア/平均的スコア/低いスコアは産業によって様々です(ケーブル会社と高級ホテルチェーンではスコア基準がまったく異なることは容易に想像できるでしょう)。例えば、消費者ソフトウェア製品の平均 NPS が21%であるのに対して、ケーブルプロバイダーは約6%です。
- 批判者に「なぜ」を尋ねる:もしアンケートでたったひとつだけ自由回答形式の質問をするとしたら、批判者の人たちになぜ0から6ポイントの点数をつけたかを簡潔に書いてもらうようにお願いするでしょう。これに対する回答は大抵の場合、いくつかの主なグループに手早く分けることができるものです。「友達にはどんな製品でも薦めないようにしている」や、「この製品はとても気に入っている」など、改善につなげられない回答をする批判者は意外と多くいます。改善できることの中には、すぐ改善できるものやパターンがあるものです。
- ソフトウェアやウェブサイトを薦めるかどうかは、30%から50%、使い勝手の良さにかかっている。NPS と一緒に行われた大規模なシステム・ユーザビリティ・スケール(SUS)分析によると、かなり多くの人々が自分なりに使い勝手が良いと感じたかどうかに基づいて製品を薦めているということがわかりました。使い勝手を改善することが顧客ロイヤルティを高めることになるのです。ではどのようにして使い勝手をより良くするのでしょう。5人程度の簡単なユーザビリティテストを行うことで、目立った課題をすぐに見つけることができます。
- 推奨者にも色々な人がいる。ある人が9あるいは10ポイントの回答をしたからと言って、その人が実際に製品を薦めるかどうかはわかりません。推奨者効率(と私が呼んでいるもの)を測るためには、顧客が本当に製品を他者に薦めたかどうか時間をかけて調査していくのが理想的です。もうひとつの方法は、この1年の間に実際にその製品を誰かに薦めたかどうかを NPS アンケートで尋ね、それで彼らの将来の行動を予測するのです。これに関する図を NPS ベンチマーク・レポートに入れてありますが、平均で68%(範囲:43%〜96%)の推奨者が過去1年の間に薦めたことがあると回答しています。