UX組織の成長
UX専門家の給与は2009年から2011年の間に7%上昇しました。
それと時期を同じくして、その職業に就く人も増えています。
Usability Professional Association(2012年に User Experience Professional Association (UXPA) へと名称を変更)によって過去2回実施された給与調査(2009年、2011年)には、UX専門家が会社に何人いるか、また企業全体の規模についての質問が含まれていました。
具体的には、2011年の調査では「あなたの会社全体で、UX関連のスタッフは何人いますか?」という質問でした。その回答の平均値をグラフにしたものがこちらです:
図1: 2009年~2011年におけるUX専門家数の平均値(企業の規模別・信頼区間95%)
私は調査の回答を企業の規模別に分類し、「会社に5000人以上のUX専門家がいる」と答えた何件かの回答の影響を避けるため、平均値を使いました。
報告されたUX専門家の平均数は総従業員100人、1000人、10000人以上の規模に対してそれぞれ6人、15人、50人でした。
全体として言えるのは、規模の大きい企業のほうが小さい企業より多くのUX専門家を雇っているということです(驚くことでもありませんが)。興味深いのは、企業の規模に関わらず、過去2年間でUX専門家の平均数が20%から30%増えているということです。
UX一匹狼の減少
また私は、「会社では自分が唯一のUX専門家だ」と答えた人の数にも注目してみました。ここでもまた、企業規模を問わず、UX一匹狼がわずかに減少していることがわかります(静的な減少ではありませんが)。
図2:2009年および2011年における「会社で唯一のUX専門家」の割合(企業規模別・信頼区間95%)
UX専門家とは何か?
組織においてUX専門家が増えているとされるからと言って、それは必ずしもユーザーエクスペリエンスの改善に取り組んでいる人が増えたということではありません。ユーザーエクスペリエンスという言葉がより広く定義されるようになっただけという可能性もあるでしょう。
誰がUX専門家を名乗るべきなのか、また、どこからどこまでの範囲をユーザーエクスペリエンス関連の職業とするのか――これは長年続いている議論です。調査への回答によると、一般的にUX関連のスタッフとは、ユーザーリサーチャー、ユーザビリティエンジニア、ヒューマンファクター・エンジニア、デザイナー、インフォメーションアーキテクトおよびサポーティング・プロダクトマネジャー、プロジェクトマネジャーを含みます。
実際のところ、おそらくUXの向上を図る専門家の増加もあれば、UXの向上を専門とするスタッフが多くいることを謳っている組織が人気を集めているということもあるでしょう。専門家の数は増加しているとして、ではそれが本当にユーザーエクスペリエンスの向上に結び付いているのかどうか――これはまた別記事で取り扱うべきトピックでしょう。