-
45. 値を入力させるのではなく結果を選ばせる
多くの場合ユーザーは自分で入力するよりも選択肢から選ぶことを好む。パラメーターの値を設定させるよりも、得られる結果を示して選ばせる。
-
50. ユーザーに厳密さを求めない
システムの都合による入力書式の制約をできるだけ減らす。半角と全角、ひらがなとカタカナ、ハイフンの有無など、入力書式の揺れをシステム側でできるだけ吸収し、内部で自動的に整形/補完する。ユーザーに機械的な厳密さを求めない。
-
54. フールプルーフよりフェールセーフ
馬鹿でも間違えない(フールプルーフ)ようにするより、間違ったとしても大丈夫(フェールセーフ)なようにする方が重要。もし全ての操作が取り消し可能であれば、実質的に誤操作は存在しなくなり、全てが目的に繋がる試行錯誤の一環となる。
-
56. 可能性と確率を区別する
滅多にない事を考慮しすぎて通常の利用を面倒にしてはいけない。プログラマーはエッジケースを重視するがデザイナーはメインケースを重視すべき。メインケース用の機能とエッジケース用の機能を並列に扱うと、インターフェースは複雑になり、普通の使い方が阻害されてしまう。
-
57. 黙って実行する
ユーザーがやろうとしたことにいちいち確認をとったり、処理が正常に完了したことを報告したりしない。操作の状況と処理の結果はダイアログではなく画面の変化でモードレスにフィードバックする。不可逆的かつデータ消失の恐れがある場合にのみ実行前の意思確認をする。
-
58. ガッツを見せる
デザイン上の要求をすべて満たそうとすると形にならない。デザインには仕様を割り切るためのガッツが必要。ユーザーの誤解やクレームを恐れて網羅性や論理性や厳密さを優先しすぎると、情報やオプションが多くなってむしろ基本的なデザイン趣旨がわかりにくくなる。
-
59. ウェイファインディング
情報空間の中でユーザーが迷子にならないように道しるべを与える。今どこにいるのか、どこへ行けるのか、近くに何があるのか、どうすれば戻れるのか、など。一貫したナビゲーションスキーム(誘導体系)を用いてシステムの全体像を把握できるようにする。
-
60. エスケープハッチ
いつでもすぐに最初の場所に戻れるよう避難口を用意する。ホーム画面を起点にしたナビゲーションや、特定のモードに入って作業をする場面などにおいて、迷子になったり作業を中断したくなったユーザーが簡単に基本の画面へ戻れるようにしておく。
-
61. 即座の喜びを与える
ユーザーが製品を使い始めて数秒以内に成功体験を得られるようにする。最も基本的な作業画面や対象物リストをできるだけ早い段階で表示し、ユーザーがすぐに作業を開始できるようにする。そして作業が正当に進んでいることを感じさせる。
-
62. 回答の先送り
はじめからユーザーにすべての意思決定を求めず、必要最小限のもの以外は回答を先送りできるようにする。アカウントが無くてもある程度利用できる、属性情報をすべて埋めなくてもレコードを作成できる、など。入力フォームでは必要性が明らかな項目だけを必須にする。
-
71. 直観的より慣用的に
UIは直観的であるのが良いと言われるが、多くの人が言う「直観的」は「慣用的」の意味である。ダブルクリックでファイルを開くのもピンチで写真を拡大するのも、初めは教わらなければできない。大事なのは人々がすでに知っているイディオム(操作の慣用表現)にすることと、もし新しい操作方法を提案するならユーザーがそれを自然に学習できやがて慣用的に使えるようなものにすること。
-
77. プロスペクティブメモリー
ユーザーが未来の自分のために手がかりを残せるようにする。後から再び参照できるよう、コンテンツにブックマークやフラグを付けたり、ウィンドウを開きっぱなしにしたり、バーチャルな付箋やマーカーをつけたり、下書き保存したりできるようにする。
-
79. ジェスチャはコマンド式ではなく直接操作式にする
特定の入力動作の組み合わせををジェスチャというが、ジェスチャに対する画面の反応は、できるだけ、一連の入力動作に対して対象の要素が直接的に追従するような振る舞いにする。単に決まった動きによってシンボリックに対応コマンドが実行されるだけのジェスチャは、動作とその意味の対応が恣意的になるので学習しづらい。
-
82. モバイルでは包括的より階層的に
デスクトップのアプリケーションでは作業空間の全体像を包括的に現すのが良いが、モバイルでは一度に見せる情報を限定して階層的に見せるのが良い。
-
83. 単純なものは単純なままに
製品が成熟して多機能化すると、一般的で単純な機能が高度な機能群の中に埋もれてしまうことがある。シンプルな製品では簡単にできたことが成熟した製品では複雑な操作を要するのではいけない。単純なことは引き続き単純に行えるようにする。
-
86. カスタマイズ機能に頼らない
ユーザーごとに要求が少しずつ異なることへの対処としてカスタマイズ機能に頼ることは、システムをより複雑にしてかえって学習のしやすさや保守性を低下させる。まずベストなUI仕様を決定し、カスタマイズ機能は慎重かつ控えめに提供する。
-
88. ユーザーが自分なりの方法で作業を遂行できまたそれを改善できるようにする
マニュアルレス(手順が覚えやすい)よりも、モードレス(手順が固定されていない)な道具を作る。道具の使い方を工夫することが創造性の源。そのような人と道具の相互発展を促すデザインを試みる。
-
89. ユーザーを教育するのではなくユーザーが学習できるようにする
システムは、対象ドメインの経験をもつユーザーであれば自力で使えるものでなければならない。インターフェースに操作説明を書くのではなく、インターフェースを自己説明的にして使い方が自明になるようにする。
-
90. UIをロックしない
GUI では、1. ユーザーのアクション → 2. プログラム処理 → 3. 結果の表示、の繰り返しで作業が進められる。UIがロックされるとは、2 に時間がかかって 3 がなかなか起こらず、UIが次のアクションを受け付けない状態になること。数秒以上UIがロックされているとユーザーはアプリケーションを自由にコントロールしている感覚を失ってしまう。
-
91. ゲームを持ち込まない
ユーザーは目的を達成したいのでありゲームをしたいのではない(それがゲームアプリでない限り)。偶然性、意外性、ギャンブル性、難解さ、判断や操作のスピードの要求、器用さの要求、勘の良さの要求、などのゲーム性をインターフェースに含めてはいけない。
-
92. 動かしたままに動くのではなく動かしたいように動く
インターフェースはユーザーの操作に素直に応じて動くべきだが、思いどおりにコントロールできていると感じさせるためには、入力デバイスからの値をそのまま反映するのではなく、適切な「あそび」や、経験則からの「補正」を含める。
-
97. ユーザーが自分のペースで作業できるようにする
操作に時間制限を設けない。タイミングによって操作の有効性を変化させない。ユーザーに高い反射神経を求めない。ユーザーはコントロールしたいのであってチャレンジしたいのではない。(ゲームを除く)