「ソシオメディア・フォーラム 2003年4月 誰も教えてくれなかったユーザビリティの着眼点100」
去る2003年4月22日、東京都新宿区の野村カンファレンスプラザにおいて、ソシオメディア・フォーラム2003年4月「誰も教えてくれなかったユーザビリティの着眼点100」が開催されました。
フォーラムの概要
2003年3月31日に発売されたオリジナル書籍『標準 ウェブ・ユーザビリティ辞典』を資料に使い、この本の中で紹介している、ウェブサイトのユーザビリティに関する具体的な100の着眼点について解説しました。
また、この本を日常のウェブ関連業務に十分に活用していただけるよう、そもそもなぜウェブにおいてユーザビリティが必要なのか、そしてユーザビリティに関する活動を組織的に行っていくためにはどのようなプロセスが必要なのか、ということについても言及しました。
アウトラインとまとめ
- イントロダクション
- 『標準 ウェブ・ユーザビリティ辞典』(インプレス)出版の経緯
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弊社が行っている、ウェブサイトのユーザビリティ診断サービスである Private: Clinic(ウェブサイト評価)から、評価基準であるスタンダード100項目を抽出して公開することにした。また弊社の各種コンサルティング実績と「ソシオメディアデザインのメソッド」をもとに、ウェブ構築プロセスの4つのフェイズも合わせて紹介している。
この書籍を通じて多くの方に知識を共有して欲しい。しかし本格的な取り組みをしていくためには、より専門的な知識とノウハウが必要となることが予想される。
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弊社が行っている、ウェブサイトのユーザビリティ診断サービスである Private: Clinic(ウェブサイト評価)から、評価基準であるスタンダード100項目を抽出して公開することにした。また弊社の各種コンサルティング実績と「ソシオメディアデザインのメソッド」をもとに、ウェブ構築プロセスの4つのフェイズも合わせて紹介している。
- ウェブにおけるユーザビリティの重要性
- ウェブ発展の背景:ウェブが発展した技術的、社会的背景である、ユーザー・インターフェイスの進化、ハイパーテキスト、ハイパーメディアの実現、専門スキルのオープン化、といった面を認識することが大切。
- ウェブというメディアの性質:ウェブのメディアとしての特性が、潜在的なユーザビリティの問題をひきおこしている。
- 企業にとってのウェブの重要性:蓄積された情報がネットワーク化されるという大きな力は、企業にとってもその事業展開や組織にこれまでにないインパクトを与えている。
- 『標準 ウェブ・ユーザビリティ辞典』(インプレス)出版の経緯
- ユーザビリティの着眼点100
「ユーザビリティ」はデザイン、ものづくりの活動そのものであると言える。これからサイトを作るという時、作りかけている時、リニューアルをしようとする時など、あらゆる場面で参考にしてほしい100の要素を紹介。-
アイデンティティ:15項目
ホームを見て、サイトの主な内容が分かるようにしなければならない。また、運営者とサイトの関係を明確にし、ユーザーとの信頼関係をできるだけ短時間で築かなければならない。 -
インフォメーションアーキテクチャ:18項目
分かりやすい分類基準を用いて主要カテゴリーを分類することが大切。また、無駄な余白や要素の詰め込みすぎにも注意し、ユーザーが効率的に情報を検索できるようにしなければならない。 -
インタラクション:26項目
ユーザーの行動を意識した導線を設けることが重要。また、リンクの表現に注意し、ユーザーが予測できる反応を示すようにしなければならない。 - アクセシビリティ:22項目HTML文書で、情報の論理構造を適切にマークアップすることで、多くの環境で適切にサイトを利用できるようになる。また画像はもとより、スクリプト、アプレット、プラグインには代替手段を提供する必要がある。
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コンテンツ:19項目
Flash などを使ったインタラクティブな要素は、あくまでユーザーのタスク支援を目的としていなければならない。またウェブでは宣伝調の誇張された表現よりも、客観的で説明調の表現を用いることが望まれる。
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アイデンティティ:15項目
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ウェブ構築プロセスを通じた取り組み
ユーザビリティについて組織的に体系的に取り組むために、ソシオメディア・デザイン・メソッドでは4つのフェイズを想定している。-
定義フェイズ
構築(再構築)するウェブサイトのアイデンティティを定義する。 -
構造フェイズ
アイデンティティをサイトの構造に反映し、コンセプトを実際のデザインに落とし込む。
実装フェイズ
各種コンテンツをウェブの利用に最適化しながら実装していく。-
評価フェイズ
さまざまな方法を使って、サイトのユーザビリティを検証し、次の取り組みにつなげる。
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定義フェイズ
質疑応答(抜粋)
- 質問:運営者側で随時「問い合わせ」を受ける体制がない場合は、問い合わせ受付用のリンク自体もない方がよいのか。
回答:ユーザーからの問い合わせが届いても対応ができないのであれば、ユーザーの利用体験を悪化させることになってしまう。コンタクトを取ろうとするユーザーは、優良顧客に転換する可能性が高いと考えることもできるので、問い合わせの受け入れ体制は重要。そこではユーザーのニーズに対応できる組織作りも大きな課題となる。
- 質問:サイト内での関連リンクを設けると、必然的にセクションを跨いだリンクが多くなる。そのような場合、別ウインドウが開くようにした方がよいのか。
回答:基本的に、ひとつのウィンドウ内で表示させた方がよいだろう。その中で、コンテンツの遷移に伴ってセクションが変わったことが視覚的に分かるようになっていることが望まれる。自動的な別ウインドウはユーザーを混乱させることがよくある。
- 質問:フォームの入力項目が多い場合は、「ウィザード」風にページを分割したほうがよいのか。
回答:1ページ内の項目数が多すぎると、入力の不備が多くなりストレスが高まるので、分割するとよい。その際に大切なことは、手続き完了までの「ステップ」の全体が見えていること。そして現在ステップの中のどこにいるのかが分かるようにすることだろう。それ以前の問題として、入力項目をできるだけ少なくして、目的を達成しようとするユーザーの負荷を減らす必要がある。
謝辞
当フォーラムの開催にあたり、約80名のご来場者の皆様には改めて深く御礼申し上げます。
今後とも「ソシオメディア・フォーラム」を宜しくお願いいたします。