ユーザー中心設計プロセスの社内標準化[ソニー生命保険株式会社様]
2007年5月8日
プレイヤーとニーズ、ロールの関係。
解決ステップの時間配分。
ソニー生命保険株式会社様の情報システム部門では、UCD(ユーザー中心設計)プロセスに沿い、パイロットシステムの設計を通した開発プロセスの標準化と、標準浸透活動、および標準に準拠して設計された特定システムの評価・改善活動を実施。ソシオメディアの「観察&インタビュー」などのサービスが活用されました。
期間:約10ヶ月
ソニー生命における課題
- 保険会社や営業担当者にとって、スキルやノウハウの共有・研鑽は、業績向上に直結する重要な課題の1つであるにも関わらず、成果主義の業界において、担当者が相互に情報を公開しづらい環境にあるというジレンマ。
- 横ではなく縦のつながり、つまり、営業所長と営業担当者との関わり合いを強め、1人の所長が複数の営業担当者を支援するシステムの構築が急務。
- 営業の量的管理に留まらない、質的管理への移行と、営業プロセスを重視したマネジメントを可能にするシステムへのニーズ。
ソシオメディアによる解決の提案
- システムの開発体制そのものを、デザイン指向開発体制へ移行する。これにより、UIの改善によるコミュニケーション改善と、プロセス重視の社内体質を実現していく。
- 従来の開発プロセスにUCD(ユーザー中心設計)プロセスを定常的な活動として組み込み、反復デザインによってUIの使い勝手と開発効率を向上するため、標準化を行う。
- パイロットプロジェクトによって基礎をつくり、その後、継続的な活動として組織化および実践を行う。
具体的な解決ステップ
-
パイロットシステムの設計 (期間:約3ヶ月間)
業務プロセスの把握と設計への反映・標準化を目指し、パイロットケースとして「目標管理システム」の設計を以下の手順で実施した。- 現状分析(要件定義書、WBS、設計書サンプル、現行ガイドラインなどの分析)
- ユーザー部門へのインタビュー(人事・教育・営業企画担当など約10名)
- ユーザー分析(ゴール分析、代表的なユーザーのモデル化)
- タスク分析、機能分析(操作対象オブジェクトの整理)
- 基本ユーザーインターフェース設計(ペーパープロトタイプ作成)
- 基本ユーザーインターフェース設計に対するウォークスルー評価
- 詳細ユーザーインターフェース設計(HTML によるプロトタイプ作成)
-
設計プロセスの標準化 (期間:約5ヶ月間)
パイロットシステムの設計で得られた知見と、ソシオメディアのインタラクションデザインの専門性を合わせ、ソニー生命におけるウェブベースシステムの設計の上流工程から下流工程までを、複数種類の標準としてドキュメント化した。- UCD プロセス標準
- デザイン原則(ヒューリスティックガイドライン)
- ユーザーインターフェース標準
- コーディング標準
-
標準浸透セミナー (期間:約1ヶ月間)
作成した標準を、社内および協力会社各社に浸透させるためのセミナーを実施した。- 回数:全5回(週1回ベース)
- 対象:情報システム部門 開発担当者 50名程度
- テキスト:各種標準と資料。演習を含む
- 標準に準拠したプロトタイプの評価・改善 (期間:約2週間)
標準に基づいて設計された、特定システムをピックアップし、プロトタイプに対するヒューリスティック評価と改善を実施した。
対象となったシステム
- パイロットシステムとして:目標管理システム(営業担当者の成績や報酬を管理する)
- 標準化フェーズにおいて:ウェブベースシステム全般(社内で今後開発されるすべてのシステム)
- プロトタイプとして:案件管理システム(案件の進捗を管理・サマライズする)
効果
- 開発者1人1人が、ソニー生命全体の業務プロセスとその効率を意識して設計できるようになった。
- ユーザーを開発プロセスに組み込み、使い勝手のよいユーザーインターフェースを効率よく設計できるようになった。
- 開発者自身で、自分が設計したユーザーインターフェースを、標準に照らしながら評価できるようになった。
相談・依頼
この事例をモデルとして、ソシオメディアが最適なソリューションを提案します。まずは問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。