ソシオメディア UX戦略フォーラム 2014 Spring
2014年3月10日(月)・12日(水),アルカディア市ヶ谷 私学会館
本フォーラムは盛況のうちに終了いたしました。
企業環境のグローバル化による製品の低価格化とネットワーク環境の劇的な変化とによって、経営戦略の要が改善(インプルーブ)から革新(イノベーション)へとシフトし始めています。またこのイノベーションにおいては、従来の「技術探求型のイノベーション」に加えて「ユーザー起点型のイノベーション」が求められています。
企業経営者や事業リーダーには、ユーザーの視点からモノゴトを捉え直し、あらたな発想で製品とサービスとをつなぐことで今までにない付加価値を生み出す力が必要になってきました。すなわち、「UX(User Experience:利用者体験)」からの戦略が必要な時代を迎えているのです。「UX戦略」とは、企業戦略として顧客の経験価値を積極的にマネジメントすると同時に、企業戦略の中核にUXを捉えるための組織と活動を管理、運営、推進することをさしています。
「ソシオメディア UX戦略フォーラム」は、UX戦略の概要から具体的な実践方法に至るまで、海外での最新動向や国内での事例をご紹介しながら、UX戦略を推進する上で必要な知見を皆さまにお伝えしていくための場として企画いたしました。1年間4シーズンの計4回にわたって、UX戦略を構成する多角的なテーマを探求して参ります。
その初回となる「ソシオメディア UX戦略フォーラム 2014 Spring」では、米国を中心に世界各国でUX戦略を指導するマーク・レティグ氏をメインゲストに迎え、2日間にわたって開催いたします。UXの概要や最新動向の理解(Day1)から、UX戦略の内容やアプローチ手法の習得(Day2)まで、幅広く学んでいただけます。
Day1(3月10日)では、「UXの最新動向」と題して、マーク・レティグ氏が、米国でのカンファレンスやカーネギーメロン大学のデザインコースで教えるUX導入のためのレクチャー「UX入門」を皮切りに、3月上旬に香港で開催されるUX Hong Kongのレクチャーの様子を聞く「UXアジア最前線」、そして、同氏が牽引した米国やアジアでのプロジェクト事例を紹介する「UXプロジェクト事例 – UX推進のストーリー -」です。UX戦略にこれから取り組もうとする方、UXの動向を掴みたい方に最適な内容となっています。
Day2(3月12日)では、「UX戦略の実践」と題して、UX戦略を実践する上での具体的な取り組み方法を解説します。「UX戦略を実践するための3つのアプローチ」ではマーク・レティグ氏よりUX戦略を推進するための手法をご紹介します。また「UX戦略に取り組むためのポイント」では、ソシオメディアの篠原稔和よりUX戦略へ組織的に取り組むためのポイントを解説します。最後に「UX戦略の現在 – 米国のUX、日本のUX -」では、マーク・レティグ氏と篠原稔和とのディスカッションを通じて、「UX戦略」に関する昨今の潮流を解明していきます。
開催概要
日時
Day1:2014年3月10日(月) 13時30分~17時00分(13時受付開始)
Day2:2014年3月12日(水) 13時30分~17時00分(13時受付開始)
会場
アルカディア市ヶ谷 私学会館(東京都千代田区九段北 4-2-25)
http://www.arcadia-jp.org/access.htm
対象者
企業経営者、各種製品やサービス事業責任者およびマネージャ職の方、その他UXへの組織的な取り組みに興味のある方。
定員
各日 70名(定員に達し次第、締め切らせていただきます)
参加料
Day1/Day2のどちらかのみ参加:1万5千円(税込み)
Day1-2の両日とも参加:2万円(税込み)
主催
ソシオメディア株式会社
メディア協賛
タイムテーブル
Day1「UXの最新動向」- 2014年3月10日(月)- 逐次通訳付き
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13:00 開場
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13:30 – 14:40:「UX入門 – カーネギローメロン大学のUXコースより -」 マーク・レティグUXデザインへの取り組み方や手法、UXの価値に関する「全体像」について、基礎知識とインスピレーションを提供します。本内容は、マーク氏がこれまで行ったカンファレンスでのプレゼンテーションや、マーク氏が教鞭をとっているカーネギーメロン大学デザイン大学院での講義など、現在実践中のプログラムからご紹介いたします。
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14:50 – 15:20:「UXアジア最前線 – UX Hong Kong 2014の講演・ワークショップより」 マーク・レティグ(聞き手:篠原 稔和)急激にUXを中心とした「もの作り、ソフトウェア作り、サービス作り」が進展しているアジア諸国。そのような中、各国でUXに関するイベントも数多く開催されています。そこで、マーク氏自身がキーノートおよび終日のワークショップに招かれた「UX Hong Kong 2014」(2014年3月6日-8日)の様子を中心に、アジアでのUXの盛り上がりやその動向について、ソシオメディア代表の篠原が多角的にお話を聞いていきます。
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15:30 – 17:00:「UXプロジェクト事例 – UX推進のストーリー -」 マーク・レティグマーク氏がこれまでに関わった数々のUXプロジェクトから事例をご紹介いたします。アジアのソフトウェアチームが「ユーザー参加型のソフトウェア開発」を実践した事例や、米国の医療用ソフトウェアに関わるスタートアップ企業が「ソフトウェアの使用実態調査から自社製品の変革」を進めた事例、3ヶ年の「戦略的なUX計画」を立案した事例など、幅広いケースについて話します。
Day2「UX戦略の実践」- 2014年3月12日(水)- 逐次通訳付き
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13:00 開場
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13:30 – 15:00:「UX戦略を実践する3つのアプローチ」 マーク・レティグマネジメントやデザインの実践は、企業戦略における動力源となって意思決定や試行錯誤を促します。このアプローチはリサーチや専門知識で対応できる課題に対しては有効です。しかし、ビジネスやデザインにおける課題の多くは非常に複雑なものです。これは以下の2点に要約できます。
- 課題はダイナミックである:状況を織りなす要素間の関係は変化し続けるため、状況は絶え間なく変化するものである。「結果」は状況全体の複雑な躍動から生まれるものであるため、変化の「原因」を理解することは不可能である。
- 課題はソーシャルである:状況は主に人間によって作られており、その大部分は関係、アイデンティティ、ストーリー、会話など、目に見えない要因から成り立っている。
そこで本セッションでは、そのような複雑な課題を抱える中で、UX戦略を実践していくための3つのアプローチ方法についてご紹介していきます。
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15:10 – 15:40:「UX戦略に取り組むためのポイント」 篠原 稔和企業における競争戦略の要として「ユーザーを起点にした諸アプローチやメソッド」を組織的に習得したり、継続的に向上させていくためには、UXの概念理解や各種手法の知識だけでは不十分です。企業をとりまく諸課題に対して、自社に最適なUX戦略を採用して適合化すること、すなわち「UXの組織化/制度化(Institutionalization)」が必要になってきます。
本セッションでは、UX戦略を構成する要素をわかりやすくまとめた上で、各組織に応じたUX戦略の選択と実践のための方法をご紹介します。これからUX戦略に組織的に取り組みたい方、UX戦略に取り組んでいる現況を振り返って確認したい方に対して、実践的な視点をご提供します。 -
16:00 – 17:00:「UX戦略の現在 – 米国のUX、日本のUX – 」 マーク・レティグ × 篠原 稔和2日間のフォーラムの締めくくりとして、マーク・レティグ氏と篠原 稔和とで、「UX戦略の現在」について、さまざまな視点から議論を行います。「UX戦略」という言葉が使われるようになった背景から、現在の各企業の取り組み方法、最新のアプローチ方法までを明らかにしていきます。
また、米国でのUX戦略や日本のUX戦略の現況、そしてアジアにおけるUX戦略の現況について、それぞれのプロジェクト経験から全容を紐解いてゆきます。また、当日会場にお越しの皆さまからの質問やトピックスを広く受け付けて、皆さまとともに議論を展開する予定です。
講師プロフィール
- マーク レティグ(Marc Rettig)
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Fit Associates LLC 創設者であり代表。Fit Associates 社では、文化やデザイン、意思決定の概念などを、会社活動以外の日常生活や個人の理念とにつなげることで、チームや組織に変革を促すようなクリエイティブな体験を提供している。
Marc Rettig 氏は、ソフトウェア分野でのキャリアの後、15年以上にわたって、インタラクションデザイン、製品・サービスデザインに従事。Philips、Nissan、Microsoft、Comcast、Whirlpool、Seagate、SAP、そして、数々のスタートアップ企業など多岐にわたる分野の企業を指導してきている。同時に、ニューヨークのスクールオブビジュアルアーツ(the School of Visual Arts)における「ソーシャルイノベーションのためのデザイン」プログラムの大学院の教員を担当。2003年には、カーネギーメロン大学デザイン大学院のニーレンバーグ教授賞を受賞。また、シカゴのイリノイ工科大学デザイン科(the IIT Institute of Design)でも教鞭をとる。
Marc Rettig 氏は、ソフトウェア分野でのキャリアを皮切りに、エスノグラフィー研究やインタラクションデザイン分野での多大な貢献を行った後、いくつかの課題に直面する。それは、どうすればビジネスやテクノロジーによるイノベーションについて学んだすべてを、社会的・組織的なイノベーションに応用することができるか、そして、チームや企業、組織が、過去の構造やプロセスにとらわれて身動きができなくなる可能性を、どうすれば乗り越えることができるのか、といったものである。同氏は、その答えとなるアイデアと方法論とを、デザイン活動や創造的な活動、組織変革、ファシリテーション、協調デザイン、生命体の理論、自己啓発といったテーマから見い出そうとしている。
来日するマーク・レティグ氏に、最近携わっているプロジェクト、欧米やアジアでのUXの広がり、UX戦略フォーラム来場者へのメッセージを伺いました。ご来場の前にぜひお読みください。
「来日直前 マーク・レティグ氏への一問一答」ソシオメディアが監訳した書籍『インタラクションデザインの教科書』(Dan Saffer 著)に掲載されている、マーク・レティグ氏へのインタビュー記事を、Google ブックスで無料で読むことができます。
「マーク・レティグ、インタラクションデザインの歴史と未来について語る」 - 篠原 稔和
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「User Experience Design Consulting」を標榜する、ソシオメディア株式会社の代表。自らも、企業組織やチームへのコンサルティング活動やITスタートアップでの経験を活かして、UXやITとデザインに関わる包括的な専門性を用いながら、企業のイノベーションに向けたUX戦略コンサルティング活動に注力している。
また、各種大学における教育活動や、標準化団体を始めとした業界活動にも従事。NPO法人 人間中心設計推進機構の理事、UXPA Japan のプレジデントなどを歴任している。