「ソシオメディア・フォーラム 2002年9月 企業ウェブサイトにおけるユーザビリティの現状と今後の課題」

フォーラム風景:司会の様子去る2002年9月10日(火)、東京千代田区のアルカディア市ヶ谷において、ソシオメディア・フォーラム2002年9月「企業ウェブサイトにおけるユーザビリティの現状と今後の課題」が開催されました。

フォーラムの概要

ソシオメディア・フォーラムの第1回目となる今回は、「企業ウェブサイトにおけるユーザビリティの現状と今後の課題」と題し、弊社の活動紹介の後、弊社が行った数多くのウェブサイトのユーザビリティ診断の結果を総括し、現状の企業ウェブの課題をあぶり出しました。
次に、課題の下に、今企業ウェブ担当者の皆様にもとめられるものをさまざまな角度からご説明しました。

アウトライン

  1. フォーラム風景:来場者の様子「ソシオメディアのご紹介」
    • ソシオメディアの活動の概要
    • ユーザビリティの世界的会議「Usability Professionals’ Asssociation 2002 Conference」(2002年7月米国フロリダ州にて開催)への参加報告
  2. 「弊社ウェブ・ユーザビリティ診断サービスから見た企業ウェブサイト現状の課題」
    • ウェブ・ユーザビリティ診断サービス「Sociomedia Clinic」とは
    • Clinic診断結果総評
    • 企業ウェブサイトの現状の課題
    • 課題解決の方向性
  3. 「企業ウェブ担当者に求められるもの」
    • ユーザビリティを正しく理解する
    • ユーザビリティ実践に必要なこと
    • ソシオメディアのご支援内容

今回のポイント

  • UPA 参加報告
    フォーラム風景:UPA 参加報告の様子7月にフロリダで行われた UPA 会議(Usability Professionals’ Association 2002 Conference:世界中の企業、大学、コンサルティングファームなどからユーザビリティの専門家が集まる)にプレゼンターとして参加した際のレポートを行いました。

    今年のテーマ「Humanizing Design」。使い勝手の良い製品やサービスをデザインするために、テクノロジーは人間の期待や行動、態度などを最大限に尊重しなければならないという考えを中心に、様々な研究発表や議論が行われました。

    参加報告のまとめ:

    • ウェブに関するテーマのウェイトが大きくなっている。
    • 情報アーキテクチャやアクセシビリティに関するセッションが増加している。
    • 開発サイクルの上流工程におけるユーザビリティ重視の傾向が強まっている。
    • 自由で活発な討議のプラットフォームとして、ユーザビリティの専門家の間でコミュニティが成立している。
  • 企業ウェブサイトの現状と課題

    フォーラム風景:Clinic 報告の様子弊社ウェブ・ユーザビリティ診断サービス「Sociomedia Clinic」を開始してから約1年が経過したため、これまで行った診断の結果を集計し、日本の企業ウェブサイトの傾向と課題を明らかにしました。

    Clinic はヒューリスティック法(あらかじめ用意された評価項目を用いた専門家による短期集中診断)を用いており、短期間、低コストで、ウェブサイトの使い勝手・利用効率を網羅的に検証することができます。

    サービスを開始してから1年で約70のウェブサイトを診断(それ以前のものも含めると合計で約150サイト)しており、5つの視点と100項目の診断ポイント(EC向けには合計200項目)によってウェブサイトの複合メディア的性質と、目的・ユーザーの多様性を考慮した評価を行ってきました。

    現状と課題:

    • 達成率の集計:
      • 平均ポイント55.9%
      • 最高ポイント68.9%
      • 最低ポイント29.4%
      • ソシオメディアが「合格」と判断する75%に達したサイトはひとつもない。
    • 多くのサイトで達成されている点:
      • 情報の鮮度が保たれている。
      • グラフやイラスト表現が積極的に行われている。
      • VI(ビジュアル・アイデンティティ)表現が積極的に行われている。
    • 多くのサイトで達成されていない点:
      • 情報の論理構造を意識したHTMLの記述
      • 検索機能の利用効率向上
      • 自由度の高いナビゲーション
      • 分かりやすい分類とラベリング
    • 企業ウェブ担当者に求められる課題解決の方向性
      • ウェブに対するユーザーの期待の変化を把握し、複合メディア的な性質を理解すること。
      • 使い勝手のよいシステムを作ることの難しさを理解すること。
      • そのようなシステムを短期間で経済的に実現するためには、「ユーザビリティエンジニアリング」のサイクルを基本に、ウェブに特化したテクニックを継続的かつ複合的に実践していく必要がある。