シナリオ

scenario

システムの設計や評価にあたって、ターゲットユーザーの要求を分析するために想定する、代表的なユーザーの行動描写。システムに対するユーザーの行動を自然言語で物語り風に記述する。

現状分析の一環として、市場調査やユーザー観察などから得られた様々な行動特性をパターン化しストーリー化する。ユーザーのプロフィールや利用環境、現行システムを利用する目的と手段などを含める。これは「As-Is シナリオ」と呼ばれる。通常の利用シーンだけでなく、例外的な利用シーンについても作成する場合がある。

As-Is シナリオは、現状のユーザー行動を定義するだけでなく、新たにシステム化すべき範囲や機能改善が必要な箇所を特定するのにも役立てられる。As-Is シナリオの中で合理性に欠ける箇所を見つけ、それらを「本来こうであったらいい」というストーリーに書き換えたものを、「To-Be」シナリオと呼ぶ。この To-Be シナリオをもとにして要件定義を行うことで、合目的性の高いシステム仕様を定義することができる。

シナリオをより抽象化し、ユースケースとしてモデル化してもよい。いずれにしても、ユーザーの行動を一連のストーリーの中でとらえ、ひとつひとつの操作がどのような文脈によってどのような因果関係を持つのかということを把握することが重要である。各機能の性能を個別に改善したとしても、ストーリーとしてユーザーの体験が改善されなければ意味がないからである。

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