ヒックの法則

Hick’s Law

インターフェース設計における普遍的な法則。ユーザビリティを定量化する手法のひとつ。ユーザーの意思決定にかかる時間は、選択行為におけるエントロピー量に比例する。単純に、メニューなどでは選択肢が増えるほど意思決定に時間がかかる。

まず選択肢の数とエントロピー量の関係は次のようになる。

H = log2 (n + 1)

  • H = エントロピー量
  • n = 選択肢の数

これはある刺激に対して単純な反応をとる場合(Aが起こったら1のボタンを押し、Bが起こったら2のボタンを押す、など)に有効な法則で、意思決定に高度な考察が必要な場合にはあてはまらない。また、選択肢がそれぞれ同じ割合で選択される可能性がある場合を前提としている。なお「+1」は「選択しない」という選択の分であり、それが許されていない場合は不要。

ここから選択行為にかかる時間を導くと次のようになる。

T = a + b log2 (n + 1)

  • T = 所要時間
  • a = 意思決定を除く所要時間
  • b = 実験から得られた平均的意思決定時間(≒ 150ミリ秒)

例えばある信号を見て対応するボタンを押すという場合、信号の理解やボタン押下にかかる一定時間を200ミリ秒とするなら、信号の発信からボタン押下までの時間は次のようになる。

  • ボタンの数が1つの場合:T = 200+150log2(1+1) ≒ 350ミリ秒
  • ボタンの数が2つの場合:T = 200+150log2(2+1) ≒ 438ミリ秒
  • ボタンの数が3つの場合:T = 200+150log2(3+1) ≒ 500ミリ秒
  • ボタンの数が4つの場合:T = 200+150log2(4+1) ≒ 548ミリ秒
  • ボタンの数が5つの場合:T = 200+150log2(5+1) ≒ 588ミリ秒

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