学術情報データベースのユーザビリティ向上への取り組み[学術情報関連(D社)]
2007年9月4日
プレイヤーとニーズ、ロールの関係。
解決ステップの時間配分。
学術情報関連(D社)では、複数の学術系データベースをまとめたポータルサイトにおいて、検索システムを中心とした評価を実施。ソシオメディアの「ユーザビリティテスト」などのサービスが活用されました。
期間:約2ヶ月
D社における課題
- 学術情報のポータルとして異なる複数のシステムをまとめているが、システム相互のつながりがないことや統一感がないことに対して、問題意識を持っていた。
- アンケート調査を行った結果、ユーザーからも「現在のサービスには使いやすさの面で問題がある」という意見を数多く得た。
- 運用関係者も問題点をリストアップしていた。しかしそのような問題点がなぜ生じるのか論理的な理由を示す手段がなく、優先順位を付けることができなかった。
- ユーザーにとって本当に有益なサービスにするためには、使いにくい原因を論理的に検証し、今後どこに重点を置いて改善するべきかを見極める必要がある。そこでユーザビリティ専門家による評価と改善に着目した。
- 単に現状評価で終わらさず、評価結果を利用しながら綿密に改善の方針を定めたい。システムの規模からして計画・開発は中長期にわたることが予想されるため、今後のユーザーインターフェース設計でも継続的に協力を依頼できる専門家に依頼する必要がある。
ソシオメディアによる解決の提案
- システムの重要な機能である「検索機能」を中心として、ユーザビリティ専門家がシステムを調査。短期間で効率的に問題点を抽出し、それらの論理的な理由と改善案を提示する。問題点の大部分は、このヒューリスティック評価で抽出可能である。
- ただし、今回の評価対象システムはコンテンツの専門性が高いため、ユーザビリティ専門家が予想しないニーズ、あるいは指摘した問題点が実際にはそれほど重要ではないことも十分に考えられる。そのため、実際のユーザーを招いて行うユーザビリティテストを実施することにより、評価の妥当性が極めて高くなる。また、簡単なインタビューも実施することにより、検索システムの使いやすさ以外の部分についても、意見や要望を吸い上げることができる。
- ヒューリスティック評価の結果とユーザビリティテストでの結果を総合的に分析し、改善の方向性を提示する。短期的に改善できる問題を提示するだけではなく、根本的に改善すべき問題と改善の方向性を提示する。今回の評価レポートを、中長期的な取り組みを立てるための叩き台として活用する。
具体的な解決ステップ
- ヒューリスティック評価 (期間:約3週間)
- 検索システムを中心とした評価(システムの重要度に応じて評価内容の詳細度を調整)
- システムごとのレポートに加え、総合レポート作成
- ユーザビリティテスト (期間:約1ヶ月間)
- 移動式機材を用いたユーザビリティテスト、インタビュー(ユーザータイプ別、計14名)
- ユーザビリティテスト・レポート作成
- 総合分析レポートの作成 (期間:約1.5週間)
- ヒューリスティック評価およびユーザビリティテストの結果を総合分析
対象となったシステム
- 学術系データベースのポータルサイト
- 個別のデータベースシステム
効果
- これまで感じていたさまざまな問題点について、なぜそういった問題が発生していたのか、どのような問題と深く関わっているのかを論理的に理解できた。
- 実際のユーザーからの意見や評価レポートを通じて、多数の関係者がユーザビリティの重要性を再認識した。将来的な改善活動の方向性を定めるうえで、「ユーザーにとっての使いやすさ、分かりやすさ」を重視する流れにつながった。
- 各画面のレイアウトや色使いの調整といった表面的な修正だけでなく、操作開始から終了までの基本的なフローや各機能の関係といったシステムの根本的な改善が必要であるという根拠を得ることができた。これにより、中長期の改善計画をより明確に策定できることとなった。