人間中心設計におけるマネジメント
篠原 稔和 (著),
近代科学社; ISBN-13: 978-4764906518 ; 4,950円 (税込) ; 384ページ
人間中心設計(HCD)は、従来の製品開発やサービス設計に資するデザインだけでなく、仕事のプロセスや企業・行政の計画や戦略の策定、そしてイノベーションに向けた持続的な成長、社会課題への解決など、広範な分野に関わる活動となってきている。
そうした規模の大きい活動を成功させるためにはHCDのマネジメントが重要になる。
本書は HCD ライブラリーの第4巻として「HCD とマネジメント領域の接点」を学ぶことを目的に、マネジメントの手法から人材育成、業務管理、組織運営といったそれぞれの観点を大ボリュームで解説している。
(近代科学社からの紹介文より)
目次
- 序章 はじめに
- 0.1 HCDの誕生前史
- 0.2 拡がるHCD価値
- 0.3 UXに端を発するHCD価値の拡張
- 0.4 デザイン思考に端を発するHCD価値の拡張
- 0.5 深まるHCD価値
- 0.6 組織におけるHCD価値
- Ⅰ.フレームワーク&メソッド&メソドロジー
- 第1章 HCDマネジメントのフレームワーク
- 1.0 HCDマネジメントの確立に向けて
- 1.2 プロジェクトとHCDのマネジメント
- 1.3 企業マネジメントとHCDのマネジメント
- 1.4 経験価値マネジメントとHCDのマネジメント
- 1.5 デザインマネジメントとHCDのマネジメント
- 第2章 HCDマネジメントのメソドロジー
- 2.1 前提としての研究方法論
- 2.2 条件適合理論の隆盛からメソドロジーの定義へ
- 2.3 「哲学・考え方」としての存在論・認識論
- 2.4 問題設定とセンスメイキング
- 2.5 「メソッド」におけるプロセスと手法
- 第3章 HCDマネジメントのメソッド
- 3.1 HCDの新たな定義とコアプロセス
- 3.2 HCD関連領域における関連メソッド
- 3.3 メソッド最小単位としてのループ構造
- 3.4 HCDメソッドの導入
- 3.5 HCD実践におけるマインドセット
- 第1章 HCDマネジメントのフレームワーク
- Ⅱ.HCD業務系のマネジメント
- 第4章 HCDの導入と運用
- 4.1 HCDにおける組織とプロジェクトライフサイクル
- 4.2 狭義のHCDプロジェクトのマネジメント
- 4.3 広義のHCDプロジェクトのマネジメント
- 4.4 HCDプロジェクトにおけるUXメトリクス活用
- 4.5 HCDプロジェクトにおけるドキュメンテーション
- 第5章 HCDのリソース管理
- 5.1 HCDプロジェクトとリソース管理
- 5.2 HCDプロジェクトにおけるスキル管理
- 5.3 HCDプロジェクトにおけるパートナー管理
- 5.4 HCDプロジェクトと情報管理
- 5.5 HCDプロジェクトと空間設計
- 第4章 HCDの導入と運用
- Ⅲ.HCD人材系のマネジメント
- 第6章 HCDの人材マネジメント
- 6.1 HCD人材の管理
- 6.2 HCD人材の社員採用
- 6.3 HCDのコアコンピタンスと専門家認定制度
- 6.4 HCDの全社員教育に向けて
- 6.5 HCD人材の教育プログラム
- 第7章 HCDのリーダーシップ
- 7.1 HCDリーダーシップから戦略的HCDマネジメントへ
- 7.2 HCDリーダーシップの特徴
- 7.3 HCDリーダーシップ事例1 :フィル・ギルバート
- 7.4 HCDリーダーシップ事例2 : グレッグ・ペトロフ
- 7.5 HCDリーダーシップ事例3 : サマンサ・ソーマ
- 第6章 HCDの人材マネジメント
- Ⅳ.HCD組織系のマネジメント
- 第8章 HCDにおける組織の成熟度
- 8.1 能力の成熟度モデル
- 8.2 ユーザビリティ成熟度モデル
- 8.3 デザイン領域における成熟度モデル
- 8.4 ビジネス領域における成熟度モデル
- 8.5 HCDの成熟度モデルの提案
- 第9章 HCDマネジメントの事例研究
- 9.1 事例研究の考え方
- 9.2 ベンチマーキングの考え方
- 9.3 マネジメント分野の代表的なケース研究と事例研究の仮説
- 9.4 HCDマネジメント・ケーススタディ-1 : IBM
- 9.5 HCDマネジメント・ケーススタディ-2 : GE
- 第10章 おわりに―HCDマネジメントの未来に向けて:ソーシャルイノベーションデザイナー「マーク・レティグ」への問い―
- 10.1 世界から見たHCDのコアコンセプト
- 10.2 日本発のHCDマネジメント
- 10.3 HCDと自然との関係
- 10.4 HCDの成熟度の向上のために
- 10.5 HCDリーダーシップのあるべき姿
- 10.6 これからの未来に向けて
- 第8章 HCDにおける組織の成熟度
- あとがき
- 引用文献
- 索引
本書は、HCD ライブラリーのシリーズとして位置付けられると同時に、HCD 分野とデザインマネジメント分野とを「橋渡し」する役割を担った書籍です。
そのことから、製品やサービスを対象とする HCD をマネジメントするといった視点にとどまらず、HCD の要諦であるHC(人間中心)を中核にもつ「新たなデザインマネジメント領域」を打ち立てて、幅広いニーズに応えていくことを狙っています。
まさに、「人間中心のデザインマネジメント(Human Centered Design Management)」を問いかけるものとなっているのです。
そのことから、本書と同時に、「デザインマネジメントの現在」を紹介する出版プロジェクト「デザインマネジメントシリーズ」とを併読しながら、実際のマネジメントの現場で活用していただくことをお奨めいたします。